ウィンストン
 チャーチルは優れた指揮官でもあった。歴代要職においても首相のほか、海軍大臣、大蔵大臣、内務大臣、国防担当閣外大臣、植民地大臣、戦争大臣、航空大臣、軍需大臣、ランカスター公領担当大臣、通商大臣と様々な職務を経験しており、各所でその才能をいかんなく発揮した。海軍航空隊の創設と育成にもあたり、チャーチル本人によれば「フライト(flight)」や「シープレイン(sea plain)」などの航空用語を作ったのは彼なのだという。
第一次世界大戦において陸軍兵器の開発にも携わり、陸上戦艦委員会を創設して装甲自動車や無限軌道自動車の開発を行い、後に戦車を生み出し「戦車の父」とも呼ばれていた。

 彼の指導者たる才能は軍事方面だけではなく、文字(言葉)を巧みにあやつることもできた。新聞への寄稿に加え、著作として『マラカンド野戦軍物語』、『サヴロラ』、『河畔の戦争』、『ロンドンからレディスミスへ』、『ハミルトン将軍の行進』、『アフリカ旅行記』、『ランドルフ・チャーチル卿』、『世界の危機』、『My Early Life』、『マールバラ公 その生涯と時代』などがあり、中でも『第二次世界大戦』はベストセラーとなり、首相として初のノーベル文学賞も受賞している。

 1940年には組閣の大命を受け、第1次チャーチル内閣を発足させた。ドイツ空軍がロンドンに攻撃を実施したときにチャーチルは爆撃を受けた町を視察して回り、そこでシガーをくわえながら勝利のVictoryを意味したVサインをして見せたことから、これが彼のトレードマークとなった。この一連の視察でチャーチルの国民的人気は大いに高まり、独裁的地位を確立するに至った。第二次世界大戦中はアメリカ合衆国のルーズベルトやソビエト連邦のスターリンと懇意にしており、テヘラン会談やヤルタ会談などでその政治手腕を発揮した。

 様々な顔を持つチャーチルの名を冠したシガーである「[DAVIDOFF WINSTON CHURCHILL] ダビドフ ウィンストン チャーチル」は、わずかに赤みを帯びた美しい光沢があるオイリーなラッパーで巻かれている。4種類のラインのうち、残りの2種類を紹介する。

「[THE COMMANDER] コマンダー」:152mm×22mm
手ごわいコマンダー(司令官)だったチャーチルは、自分の支配化にあった多くの軍隊や資源に対する責務を、力強く優れた人格をもって果たしていた。さらに言葉に対するあらゆる感覚を駆使することができる、文字のクロッサス(巨人)でもあった。このシガーはそんな力強い彼をあらわすのにぴったりで、リンゲージが22mmとこのシリーズで最大である。スパイシーな薫りから入ったのちに、中盤に進むにつれてクリーミーな甘さになり、最終的な見事にミックスされた豊かな風味を堪能できる素晴らしいシガーだ。

「[THE STATESMAN] ステーツマン」:133mm×21mm
歴史上偉大なステーツマン(政治家)のひとりであるチャーチルは、首相であり、国民大衆の味方。政治家でありヒューマニスト。また軍事戦略家であり外交官。強い個性を持ちながらもバランス感覚がとてもよかった。同じことがこのロブストサイズのこのシガーにも当てはまる。ドミニカ共和国、ニカラグアおよびメキシコ産のタバコの葉をブレンドし、なめし皮とブラックコーヒーの豊かな薫りの調和が、エクアドル産のオイリーでシルキーなラッパーとマッチして、完全なバランスを実現している。この1本は様々なプレッシャーから解放され心を整えることができるマストアイテムに違いない。

 心の余裕と時間の余裕、そこにシガーとともに過ごす素敵なときを。